           |
 |
 |
|
 
- 岩田
- それでは、ニンテンドーDSiの
もっともわかりやすい特長のひとつ、
カメラについて訊いていきます。
今泉さん、自己紹介をお願いします。
- 今泉
- 環境制作部UIデザイン制作グループ、今泉です。
今回はニンテンドーDSiのカメラ機能を使った
アプリケーションのディレクターを、
・・・・・・いつの間にか担当してました。
- 岩田
- いつの間にか(笑)。
その経緯をちょっと説明してもらえますか。
「岩田にはめられた」とかでもいいですから。
- 今泉
- そのとおりです。
- 一同
- (笑)
- 岩田
- ちゃんと説明しましょう(笑)。
- 今泉
- はい。ええと、もともとはですね、
すでに何度か話に出てきている、
本体機能検討会というところで、
ぼくは事務局員として、
いろんな人の意見を集めて選別して伝える、
というようなことをやっていたんです。
で、そこでいろいろと話し合っていくなかで、
まず、カメラを使ったソフトを
本体の機能として組み込むことは、
まず間違いないだろうと。
- 岩田
- はい。だって、カメラがついてますからね。
- 今泉
- はい。カメラがついてますから。
で、カメラをつかったソフトを考えるときに、
当初は、方向性が2種類あったんです。
ひとつは、自分の写真を自分の記録として、
自分専用の日記やアルバムのように
溜め込んでいくという方向性。
もうひとつは、撮った写真を材料にして遊ぶ、
「遊べるデジカメ」というような方向性です。
- 岩田
- で、今泉さんはどちらの方向性が
いいと思っていたんですか。
- 今泉
- ぼく自身がつくるとしたら、
「遊べるデジカメ」のほうかなと
そのときは思ってました。
もちろん、完全に他人事として
そう思ってたんですけど。
- 岩田
- で、「もしもぼくがつくるとしたら」
ということで、
「遊べるデジカメ」のほうの
仕様書を書いたんでしたっけ?
- 今泉
- 書きましたねー。
- 岩田
- それが運の尽きで(笑)。
- 一同
- (笑)
- 岩田
- 黒梅さんは、今泉さんに
ディレクターをやってもらうことに
なったときのことを覚えていますか?
- 黒梅
- はい。もともと今泉さんは、
『DS時雨殿』ではディレクターを務めていて、
そのあとはWiiのインターネットチャンネルを
担当していたんです。
ですから、元来、ものをまとめるのはうまい人で、
カメラのことに関しても、
いろんな意見を吸い上げて
具体的に仕様をまとめていくのが
けっきょく今泉さんなんですよ。
だったら、このまま彼に
ディレクターをやってもらうのが
いちばんキレイなかたちだろうと。
- 岩田
- いろんなことを決めようとして動いている人が、
すでにそこにいる場合は、
その人がディレクターを務めるのが
いちばん自然なんですよね。
で、あれよあれよとスタッフが集められて、
気がついたらディレクターになっていたと。
- 今泉
- はい、そうです(笑)。
- 岩田
- すでに発表もされていますが、
その「遊べるデジカメ」の内容を
簡単に説明してもらえますか?
- 今泉
- わかりました。
最終的には、 全部で11種類の「遊び」を
組み込むことができました。
タッチペンで写真を変形させて遊ぶ
「ゆがみカメラ」や、
写真にらくがきしたりスタンプを押したりする
「らくがきカメラ」などは、
もう、パッと写真を撮った瞬間に、
楽しんでいただけると思います。
「フレームカメラ」では、
額縁やマリオの帽子とヒゲなどのようなフレームを
10種類ほど用意しているんですが、
撮った写真をくり抜いたりして、
独自のフレームをつくることもできます。
今回スタッフに女性が多くいて、
スタンプやフレームなどは
だいぶかわいいものに仕上がってると思います。
あと、白黒の写真の一部だけに色をつけたり、
赤を青に変えるなどといった
色を変えてしまうようなモードもあります。
- 岩田
- そして、顔認識をつかった「遊び」も。
- 今泉
- はい。写った人の顔を自動的に認識して、
いろいろと楽しめるようになっています。
ふたりの顔を合成してしまう「顔合成カメラ」、
ふたりの顔がどのくらい似ているかを
判定する「似てる度」カメラ、
写った人の表情を変えてしまう「表情カメラ」、
そして、写った人の顔に自動的に
パーツをかぶせてしまう「いたずらカメラ」。
そういったものを用意しました。
直感的にあそべるものから、
工夫しだいでいろんな方向性のあるものまで、
幅広くそろえることができましたので、
カメラだけでもずいぶん長く遊べると思います。
- 岩田
- わかりました。ええと、このあたりで
宮本さんにしゃべってもらおうかな。
カメラを使った遊びについては、
宮本さんが「こうしたい」ということを
けっこうはっきりとおっしゃってましたよね。
- 宮本
- そうですね。
いちばん、はっきりと言ってたのは、この中に、
ペインター、グラフィックエディターを入れるんだ、
ということでしたね。
というのは、こういう携帯ゲーム機って、
ヒマがあったらつい触ってしまう、
という要素があったほうがいいと思うんですね。
昔からぼくは言っていることなんですけど、
一時期、ゲームは、ヒマつぶしとして
携帯電話のメールに負けてたと思うんです。
その時期はきっと、若い人たちにとっては、
電車のなかでゲームをするより、
メールを打っていたほうが楽しかったんです。
だからね、たとえば極端にいうと、携帯電話会社が、
何十文字かの文章を問題として流して、
速く打って返してきた人からランキングするとかね、
そういう「メールの早打ち競争」みたいなことを
したほうが対戦ゲームをしているより
たのしかったりするかもわからない。
そんなことを言ってた時期があったんですが、
今度のニンテンドーDSiという携帯ゲーム機は
やっぱり持ち歩いてもらいたいと思うんですね。
で、電車の中とかでヒマつぶしに、
撮ってきた写真を適当に編集して過ごす、
というふうに遊んでもらったらいいなぁと。
写真を適当に合成したり、文字を加えたりして、
気軽に友だちにあげたりとか、
そういうことができたらたのしいやろなって。
- 岩田
- そうそう(笑)。
宮本さんの構想が、
PC用にあるような
「何でもできる多機能の写真編集ソフト」を
つくりたいと言っているように聞こえたので、
「そんなものを1年でつくれるのか」って
みんなが大騒ぎになるんですよ。
- 宮本
- どうもぼくがそういうことを言うと、
「超高性能のペインター」をイメージしてる、
みたいに思われるんですよね。
- 岩田
- そりゃ、まあ、宮本さんの話は、
わたしにも、そう聞こえる
勢いがありましたから(笑)。
- 宮本
- だからね、写真を使って、荒く切り取って、編集して、
ペタペタ貼りつける、ということをしたいということを
表現したかっただけなんです。
もちろん、いろんなことができる方がいいんですが、
最低限そういうことができればいいと思っていました。
そういうあたりを基本にして、
まぁ、現場と歩み寄りながら(笑)。
- 岩田
- (笑)
- 宮本
- フォントはどうしようかという話になると、
ぼくは「簡単なフォントは欲しい」って言うし、
現場は「手書きで大丈夫では?」って言うし。
そんな感じで徐々にまとまっていったんですが、
写真を重ねて遊ぶあたりは、
カメラがあってエディターがついてる以上、
欠かせない機能じゃないかということで、
ぼくも譲らなかったりしたんですけど。
- 岩田
- タッチペンのついた、
画面がそこそこ大きいデバイスに
せっかくカメラがついたんだから、
それを活かさない手はないって、
すごく力説されていて、
「本格的な写真編集機能を入れたい」なんて
宮本さんが言い出すから
どうやって説得しようかと思ってたんですけど、
いろいろ話を聞いてみると、
どうも、宮本さんがやりたいことは、
「撮った写真をくり抜いて、
ほかの写真と合成すること」らしいぞと。
- 宮本
- うん(笑)。
- 岩田
- 「それならできるんじゃないか」っていうことで
いまのかたちになっていったんですよね。
で、実際に、宮本さんがおっしゃる
「 撮った写真をくり抜いて、
ほかの写真と合成すること」ができると、
それって要するに、合成写真が
すごく簡単にできるっていうことですから、
けっこう凝ったことができるんです。
そんなところから、部内で、
写真をつかった遊びが大流行するんですよね。
- 黒梅
- まぁ、仕様を固める意味もあって
たくさん撮って、たくさんつくったんですが、
すごい作品がたくさんあります(笑)。
- 今泉
- 出版したいくらい(笑)。
- 宮本
- まあ、絵の描けない人の、絵遊びというか。
- 岩田
- そうですね。
わたしは絵が描けない人なんで、
すごくおもしろい遊び道具ができた
っていう感じがしてます。
- 今泉
- ちなみに、撮った写真、つくった写真は、
ニンテンドーDSiが2台あれば
ワイヤレスで交換することができます。
もちろん、SDメモリーカードに入れて
持ち運ぶこともできますし、
Wiiの写真チャンネルでテレビに映し出すこともできます。
- 岩田
- これ、ひとり用の遊びとしても
そうとうたのしく遊べますけど、
コミュニケーションの道具としても
かなりの力がありますよね。
- 今泉
- はい。はっきりいって、
宴会ツールとしてはすごいです。
- 岩田
- ははははは。
あの、こういうことを言うと
失礼かもしれませんけどね、
なんか、妙にたのしそうにつくってるように見えましたよ。
- 今泉
- そうですね。
いろいろたいへんなことはあるんですけど、
つくってると・・・・・・笑ってしまうんです(笑)。
- 黒梅
- 写真関係のソフトをつくってる人たちの席から、
大声でゲラゲラ笑う声が聞こえてくるんですよ。
しかも、お互いの写真を撮り合うので、
みんな立ち上がってパーテーションから
こう、顔を出して、ぎゃあぎゃあ言ってる状況で、
何回も怒りました(笑)。
- 岩田
- 迷惑でしたか、松島さん?
- 松島
- いやあ、たのしそうだなあ・・・・・・と。
- 一同
- (笑)
- 岩田
- さて、こうやって、なんとか、
カメラで遊ぶ機能はまとまりました。
デザイン、機能、そして本体機能も含めて、
ニンテンドーDSiはこういうものだと
ようやくみんなが実感しはじめたわけです。
ところが、宮本さんが、
「なにかが足らない」って言い出すんですよ。
- 宮本
- そうでしたっけ?
・・・・・・ああ、そうそう、そうでしたね。
   
|