スクウェア・エニックス プロデューサー 浅野智也 × スクウェア・エニックス プランナー 時田貴司

1.マザーシップタイトル

オリジナルから16年

時田. 今作『ファイナルファンタジーIV』(※以下、『FFIV』と表記)のオリジナルは、スーパーファミコン用ソフトとして1991年に発売したものです。当初、僕は旧スクウェアでグラフィックのアルバイトをしてたんだけど、その僕が企画として初めてゲーム開発に深く関わったのが『FFIV』なんですね。その頃はスタッフの人数が少なかったので、アルバイトのグラフィックだけでなく、ゲームのアイデアを出したり、プログラムを書いたり、効果音を作ったりしたし、イベントシーンは全部1人で作っていました。そんなことで、僕がグラフィックデザイナーからプランナーにジョブチェンジをして、さらに社員にクラスチェンジした(笑)、人生の分岐点になった作品でもありますね。浅野は『FFIV』が発売された16年前は中学生だったんだよね。
浅野. 当時僕は、親にスーパーファミコンを買ってもらって、『FFIV』をリアルタイムでプレイしてましたね。
時田. 『FFIV』は、『FF』シリーズとしてプラットフォームがファミコンからスーパーファミコンになった初めての作品なんです。そういう意味で、『FFI』*1・『FFIII』*2のジョブのイメージを残しつつ、『FFII』*3のシナリオ性を入れて、なおかつ四天王みたいな節目となるボスキャラを配置してみたいな感じで、これまでのシリーズの集大成にしたいというのが、オリジナル開発当時の僕の個人的なテーマだった気はします。
*1.
『FFI』:『ファイナルファンタジー』シリーズの第1作目。ファミリーコンピュータ用ソフトとして1987年12月に発売。
*2.
『FFIII』:『ファイナルファンタジーIII』。ファミリーコンピュータ用ソフトとして1990年4月に発売。
*3.
『FFII』:『ファイナルファンタジーII』。ファミリーコンピュータ用ソフトとして1988年12月に発売。

『FFIII』に続いてフルリメイクに至った経緯

浅野. 『FFIV』のフルリメイクを考えたのは、昨年発売したDS版『FFIII』が完成する間際でした。『FFIII』がすごくいい出来で完成しつつあったということもあり、この流れで『FFIV』のフルリメイクに挑戦したいと時田さんに相談しました。
時田. 『FFIII』のマスターの前だったよね。突然、浅野に呼び出されて『FFIII』の次は『FFIV』だろうと(笑)。『FFIV』は『FF』シリーズの中では移植が多いタイトルで、一番最近移植されたゲームボーイアドバンス(GBA)版*4からそんなに時間が経っていなかったので非常に悩んだんですけどね。発売の間隔が2年空いて、なおかつフルリメイクであればやりたいかなあと。
*4.
ゲームボーイアドバンス版:ゲームアドバイス用ソフト『FFIV』は2005年12月に発売。

DS版『FFIII』スタッフが開発を担当

時田. 今回、開発はDSの『FFIII』を手がけたマトリックス*5のスタッフに引き続き担当してもらいました。そこに、金田伊功さん*6をはじめとする社内のストーリーボード*7のチームが入った形ですね。


『FFIV』をDSでリメイクする決め手になったのは、『FFIII』のリメイクでマトリックスが頑張ってくれて、出来も良かったからです。DSの『FFIII』は、バリバリの3Dではなく、昔ながらの2Dのイメージを踏襲しつつ3Dにしているというバランス感がすごく良くできてるなというのが第一印象。遊んでみても『FFIII』らしさというのがちゃんとありつつ、ディテールもきちんと作りこまれているのでリメイクの完成度が総合的に高いなと。それを見て、「このイメージで、さらにもう1段階上のリメイクができるのであれば」とアイデアを練り始めた感じですね。

*5.
株式会社マトリックス:コンピュータソフトウェア等の企画・開発を行うゲーム開発会社。DS版『FFIII』の開発を担当。
*6.
金田伊功(かなだよしのり):アニメーター。スクウェア・エニックス所属。
*7.
ストーリーボード:シナリオを絵で説明した動画の設計図。絵コンテ。

フルリメイクで目指したこと

浅野. 自分で手がけた『FF』シリーズのリメイクは『FFIII』に続いて2作目になります。『FFIII』も『FFIV』も、オリジナルを遊んでいて大好きな作品だったので、心情的な思い入れという点では変わりませんが、プレッシャーは『FFIII』よりもかかりましたね。オリジナルの『FFIII』のプラットフォームはファミコンなのに対して、『FFIV』のプラットフォームはスーパーファミコン。当然、スーパーファミコンのほうが表現力が高く、プレイヤーが持っているイメージももっと豊かでしょうから、それに応えなければいけないなと思いました。具体的には、『FFIII』のフルリメイクのコンセプトを踏襲して、グラフィックを刷新すること、新規のお話を追加すること、さらにゲームのリバランスということでゲーム性にも手を入れるという方向性で考えました。
時田. 技術的に3Dのカメラワークが入ったり、ボイスが入ったり、システム的に新鮮になったところはあるんですけど、『FFIV』の根幹をいかに変えないかというのが僕の中のテーマでした。僕が作っていたオリジナルの何が本当に面白かったのかっていうことが、今、客観的に一歩引いて見ることによって分かってきたんですね。その辺はおそらくプレイヤーの感想と同じだと思うし、そこの部分を大事にして、変えすぎないようにというところにすごい気を遣いましたね。
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